レビュー: アルスエレクトロニカ 2020

以下はSFCの学生向けに書いた資料です。

世界で最も権威のあるメディアアートの祭典、アルスエレクトロニカ。今年の結果が発表されていたので、Interactive Art+部門を中心に気になった作品、特にAIに関連するプロジェクトをまとめてみます。 ここで紹介している写真は全てアーティストに帰属するものです。

 

全般的にAIと倫理、プライバシーの問題、アルゴリズムの専制と私たちのウェルビーイングの関係などに注目が集まっているように感じました。

 

 

Interactive Art+
Golden Nica 最高賞

Lauren Lee McCarthy (US): SOMEONE

https://lauren-mccarthy.com/SOMEONE

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簡単にいうと人間版 Amazon Alexa。 2ヶ月の間、アメリカの四つ家にカスタムメイドのカメラ、マイク、ライトなどを設置。NYのギャラリーにおいたコンピュータから、ギャラリーを訪れた人がそれぞれの家の様子を見ることができるというもの。アレクサの代わりに「Someone」と話しかけれると、アレクサのAIの代わりをギャラリーを訪れた人がつとめます。会話をしたり、電気をつけたり、音楽をかけたりして、参加者の生活を助けてあげることになります。

AIの精度を高めるために、Amazonの社員がアレクサに話しかけられた言葉を一部、実際に聞いていると言われていますが、AIに囲まれることで気づかない間に生まれる、プライバシーの問題。プライバシーを犠牲にすることで得られる利便性。その二つを天秤にかけている現在の私たちの姿を表現している作品のように思います。

関連作品: Hold That Task.This is On 

 

Award of Distinction 優秀賞

Lynn Hershman Leeson (US): Shadow Stalker

https://www.lynnhershman.com/project/shadow-stalker/ 

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鑑賞者は設置された端末にemailアドレスを入れる. そのアドレスを元に様々なデータベースにあたり、個人情報を抜き出す。
壁に映し出された本人の影の中に得られた個人情報を投影。やはりプライバシーがテーマになっている。

 

Honorary Mentions

 

Appropriate Response – Mario Klingemann 

https://onkaos.com/mario-klingemann/

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60000の有名なフレーズ、有名人の言葉の引用などを学習データとして集め、OpenAIの言語モデル、GPT-2で学習。

引用、アフォリズムっぽい文章が生成できるようにする… ここまではよくある話ですが、今回Mario Klingemann (AIアートの領域で多分一番有名なアーティストですね)の取り組みで特徴的なのは、生成された文章を表示するために、昔の駅にあるような反転フラップ式案内表示機(パタパタするやつです)を使った点です。

さらにこの表示器の前には教会にあるような懺悔台(というのかな?)が置いてあり、鑑賞者が膝をつくと文章が生成される仕組みです。

まさにAIの神様のお告げをありがたく聞く、そんな舞台設定が秀逸です。

やっぱり物理的に落とし込むのは強いですね….

 

Warriors – James Coupe

http://jamescoupe.com/?p=2603

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DeepFakeを使った作品。

鑑賞者の顔をキャプチャ -> ジェンダーや人種などを推定 -> 有名なカルト映画 The Warriors の登場人物に Deep Fakeを使って貼り付けられます。
この映画では架空のNYで人種や経済状況によって分けられた多数のギャングが抗争を繰り広げているという設定。

カメラでキャプチャされた顔から推定されるジェンダーなどによって特定のギャングに割り振られることで、日々、見えないアルゴリズムによって勝手に分類が行われる現代社会の姿を映し出しているといえます。

 

Machine Auguries – Alexandra Daisy Ginsberg

https://www.daisyginsberg.com/work/machine-auguries

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GANで鳥の声を生成…しただけといえばそれだけにも見えるのですが…  都市化によって鳥にとっての環境が変わる中で、どう都市のサウンドスケープが変わっていくかといった問題提起をしています。また、GANのフレームワークを言語の発生に例えることで、作品性を得ているようです。

 

 

Computer Animation – Honorary Mentions

Squarepusher / Terminal Slam  – Daito Manabe (JP), Kenichiro Shimizu (JP)

そしてComputer Animationでは、真鍋くんたちがHonorary Mentionsを獲得してますね!流石! 

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