[日誌] 医者? それとも患者?

2007 BLOG

昨日 2/28は恵比寿の写真美術館に文化庁メディア芸術祭を見に行ってきました。正確に言うと、メディア芸術祭に関連して行われた東大の原島・広瀬両先生と芸大・藤幡先生、工学と芸術、両面からアートとテクノロジーの関わり方に関するシンポジウムを見にいったというべきでしょうか。まぁ、だいたい想像してたんですが、前半は「技術って本質的に美しいよね」という話しに終始してかなり退屈… ところが、そのあと藤幡先生が話しに加わった時点で雰囲気が一変してスリリングに!! カタカナ語としての「アート」と、西欧の「Art」の定義の齟齬といった話題に始まり、「医者」と「患者」のたとえでアートとデザインの本質的な違いに言及すると、会場の雰囲気ががらっとかわったのを肌で感じました。

曰く、「何らかの問題に対する具体的なソリューションを提示するデザインは、症状に合わせた治療を行う医者のような立場である、それに対して、西洋的な定義でいうところのアーティストとは基本的にのたうち回って苦しむ患者であり、その苦しい産物がアート作品である」。さらに、この観点から言うとメディア芸術祭の作品は、医者的な立場から作った作品が多すぎるのではないかという苦言も。

例え自体は特別新しいというわけではないのですが、なにかストンと落ちるものがありました。その後、自分自身はどっちなんだろうということを自問自答を繰り返しています。たぶん、医者になりたかったけど、なりきれなかった患者、というようなところでしょうか….

たしかにメディア芸術祭やデジスタとかでみる作品はすごくよく出来てるし、見た目も美しいものが多いですよね。それでもなんか個人的にはピンとこないものが多かったりもします。実際、完成度は高くないものの、僕の周りの人の作品の方が良い意味で病んでいて面白かったりするんですが、それがなんでなのか自分でもいままで分かりませんでした。昨日はそれがなんなのかはっきりと言語化できたような気がします。

シンポジウムのあとは、VR学会のアート&エンターテイメント学会の委員会に出席(委員をやらせてもらってます)。その席も、患者 or 医者の話で持ち切りでした。

僕自身、まだやっぱり考え続けてます。うーん….
あなたはどちらですか?