[日誌] Maxワークショップ@ 刑務所

2007 BLOG

「フランスに帰ったら刑務所に2週間入るんだ」

と先日のワークショップに遊びにきてくれたオリビエ氏から言われた.すわ,飲酒運転? それともクスリ? あなたもパリスヒルトン?と思いきや

実際はMaxのワークショップを刑務所で開くらしい.
本人曰くMaxのワークショップというよりは広くデジタルテクノロジーをつかったアートについての講義をするそうだが,入れ墨だらけのごっつい男たちがビルビオラのビデオに反応するのをみるのは,けっこう楽しいとのこと.笑

日本では格差社会が問題になってるが,移民が大量に流入/移動し続けるヨーロッパ社会での格差は日本とは問題にならないくらいおっきい(北欧は別か).当然その格差は教育やその後の進路に決定的な影響を与える.いままでまともに美術教育(もっと広く情操教育といってもいいけど)を受けたことが無い人たちが相手だからこそ,いい作品を見せて興味をもってもらいたい,それが彼の狙いだ.実際,出所後にサウンドエンジニアになった元受刑者がクラブのPAとして働いているのにでくわしたことがあるとか.


格差社会.

ちなみにニューヨークなどでの最近の犯罪率の低下は,別にアメリカ社会が安全で暮らしやすくなったからではなく,ちょうどいまから10数年前に避妊が合法化されたからというのが,一番の理由らしい.つまり,子供をまともに育てる余裕のない貧しい親が避妊をすることで,単純に「犯罪予備群」の母集団が減った(もし生まれていたら今頃ちょうど犯罪適齢期になるわけだが). べつに僕は優生学を信じてるわけではないが,これが格差社会の現実.

話が脱線した.
アートによる「慰問」.さすがはフランスという感があるが,サルコジが政権を奪取してからというもの,アートに関する予算への締め付けがはやくも厳しくなってきているそうだ.IRCAMやGRMのような音楽の研究所もいつまでつづくのかという危機感を募らせている.だからといって,塀の中に新たなユーザー層を開拓しようというわけではないと思うが… 笑

あと,やっぱり刑務所のご飯はまずいそうです.