AIと著作権

2016 BLOG

AIの生成物と著作権に関して弁護士の方との勉強会に参加してきたのでメモ。

 

まず前提として、著作権法上、著作物とは思想 / 感情を創作的に表現したものという定義なので、AIの生成物は著作物にはあたらない = 著作権法上の保護の対象にならないそうです. (同様に「人の」発明を保護する特許法の対象でもない)目に見える・耳で聞こえる等のかたちになった表現が著作権の対象であり、アイデアの段階では保護されない。したがって、アルゴリズムは著作物ではないが、それを実装したソフトウェアは著作物として保護されます。

また、人がコンピューを道具として用いて著作物を創作したと認められるには、人の創作意図と創作的寄与があったことが条件。たとえばDeepLearningなどで学習の結果得られる学習済みのモデルは、著作権の対象にはならない可能性が高いとのこと。 (そのため、学習済みモデルの権利の保護には営業秘密の保護の枠組みを使うと良い? その場合はモデルの非公知性と秘密管理に留意)。

前々から学習につかうデータの著作権が気になってたのですが (J-POPの歌詞を学習させる etc)、著作権の無断使用が許される例外規定があるそうです。
電子計算機による情報解析(比較、分類、その他の統計的な解析を行うこと)を目的とする場合には複製や翻案が許される、という著作権法第47条の7の規約にそえば、権利を保持していない著作物を学習につかうことは適法ということになるのではとのこと。 ただし、あくまで統計的な処理をする場合に限られているので、学習データの一部が、生成された著作物のなかにそのまま認められるような場合はNG(例、学習した歌詞の1フレーズが生成された歌詞のなかに出てきたような場合)。

私が直接お話しした弁護士さんは、商用利用も可能とおっしゃっていましたが、学習元と直接の利害関係があるような場合はNGとおっしゃっている方もいるようです。判例もないので、どこまでOKなのかということに関してはまだ見解が定まっていないように見えます。

もともとの著作権者の権利保護が前提であることも考慮すると、いずれにしても慎重に進める必要がありそうです。