The Ship Project with Brian Eno – Cannes Creative Lions 2016
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昨年からお手伝いしているDentsu Lab Tokyoさん主催のセミナーに参加するためにカンヌライオンズ 2016に来てます. 今年の年明けから取り組んできたBrian Eno氏とのコラボレーション、彼の新作アルバムのタイトル曲 The Shipのためのミュージックビデオ(The Ship Project) の発表を兼ねたセミナーです. The Ship Projectのなかで私はDeep Learningを用いた画像解析の部分と全体のテクニカルディレクションを担当しています。 MVの詳細についてはまた改めて書くとして… イーノ氏のトークの中で面白かったことをざっとまとめておきます。
「テクノロジーという言葉は「設計者の期待通りに動いてくれないもの」を指す. 期待通りに動くものはテクノロジーとみなされなくなる。たとえばピアノがいい例だ。」
「アーティストが興味があるのは、テクノロジーの誤用。自分はArtificial IntelligenceとともにArtificial Stupidityに興味がある。」
(マルコフ連鎖を使った作品について聞かれて) 「機械知能はブライアン・イーノという人間が思いつかない組み合わせに思いつく。生成するアウトプットの95%がゴミだったとしても、残りの興味深い5%を自分で選ぶことができればよい。機械知能は人の介入があってはじめて、クリエイティブに使える。」
セミナー後の食事の際には隣に座らせていただいて 2時間ほどじっくりお話を伺いました。(もっとも僕はひたすら緊張してましたが…)。
「 ソフトシンセは大好きだ。ただ音の合成方法ではなくそのUIに大きな問題がある。ほんとに微妙な つまみの誤差のようなところに豊穣な音の世界が広がっている。飛行機の中ではつまみの誤差のような範囲で微妙にパラメータをいじっていつも実験しているよ(笑」
「Maxは難しすぎる(笑。それよりもLogicでつまみをいじってじっくり音色の実験をしているほうがいい。」
「実は新しいUIのアイデアがあるんだ! 」そのあとノートを持ち出してUIのスケッチを見せてくれました (ここに書くのは控えておきます)。
「歴史の本や哲学からインスピレーションを得ている。先日も中世の富裕層の生活を綴った本を読んだことで、スタジオに入った時の音楽に向かう姿勢が変わった。」
本人はとにかくジェントルマン. 僕が高級レストランのメニューで苦戦してるのを見て(笑、助け舟を出してくれたり… 謙虚に子供のような好奇心を保ち続けている姿勢がまず素晴らしいですね。チャーミングな目と優しく語りかけてくるような声が印象的でした。イーノ氏のSurf on Entropyという言葉をこのブログのタイトルにしていたくらいイーノ氏のファンであり、考え方に影響を受けている僕としては記憶に残る1日になりました(東大の理系の博士論文でイーノ氏のプロジェクトに何度も言及しているの僕くらいなんじゃないでしょうか)。
このプロジェクトに誘ってくれたDentsu Lab Tokyoの菅野くんほかみなさま、ビジュアル表現を担当してくれた比嘉くん(ほんとにおつかれさまです!)、サーバ構築でお世話になったマウントポジションのみなさま、ありがとうございました! プロジェクト自体に関しては公開後にまたまとめたいと思います。
ps. 過去に書いたイーノ氏に関わる記事を検索するとこんなにありました。“イーノ” の検索結果 – Nao Tokui / 徳井直生
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