魔の海域へようこそ – アート/デザイン/科学/工学

「あなたのご専門は?」 「アーティスト? ミュージシャン? それとも研究者?」こんな質問を良く受ける。自分がやっているのは、音楽なのか工学なのか、アートなのかデザインなのか…  自分でも答えに困るときがある (苦笑)

そんなときに見つけたのが、下のマンダラ。John Maedaが彼のblogでさらっと書いているものだが、これ以上ないくらいにシンプル(やっぱりSimplicityですな)に、アート/デザイン/工学/科学の本質を簡潔に表している (Maeda’s SIMPLICITY: The Bermuda Quadrilateral)。彼の学生の多くが(そして、時には彼自身も?)、僕と同じように迷ってしまうことがあるのだろうか、彼はこの図を船や飛行機が消えると言われる魔の海域にかけて、バミューダ四辺形と名付けているのが面白い。

Picture 2-3

この図は、そんな魔の海域に足を踏み入れてしまった僕のような人間にとっては、自己分析のための海図として役に立ちそうだ。


でも、海図はバイブルではない。ときにはこの意図的にゆがめてみても面白い。
Picture 3-4

自己表現のための工学があってもいい(Engineering to express)  探求のためのアート(Art to explore)があってもいいだろう。 それが実際には、探求のためのアートの形を借りた科学 (Science in the form of Art to explore)なのかもしれないし、 自己表現のために工学を利用したアート(Art by means of Engineering to express)なのかもしれない。

でも、そんなことは、どっちでもいいじゃない。いずれにしても、こうしたカテゴライズはあくまでも便宜的なものなんだってこと。迷いながら目的地を探しつづけるしかない。

実際、John Maedaがポストの最後に書いているように、ちょっとひいた視点で見れば、いずれも実は本質的には等しく崇高な行為なのだから。

Any system that you observe with the tightest scrutiny reveals the distinctiveness of the elements. But when you step way back away from the divisions, you see that it is all really the same. Art, Design, Science, Engineering. They are all wonderful activities that we humans who are privileged with a roof over our heads and a full stomach can engage with passion and hope.

8 Comments

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inquisitor
January 30, 2008 at 7:52 pm

思いっきり引いてみればたいていのものは「人の営み」になるわけですが、
それはちょっと引きすぎというものではないでしょうか。

たとえば、The XXX of Computer ProgrammingのXXXに入れたときには大きな違いがありそうです(John Maedaの意味のArtは入らないかと)

孫子「兵法」の英訳「XXX of War」とか

nao
January 30, 2008 at 8:14 pm

ただの「人の営み」というところまで一般化したつもりはないんですがねぇ…..

They are all wonderful activities that we humans who are privileged with a roof over our heads and a full stomach can engage with passion and hope.

違いを認識した上であえて魔の海域に踏み込んでみることも時として必要なのでは? 迷ったらまたこの図を見返してみればいいんだし… ということが言いたかったのです。

それから、ここでいう意味での、Art of Computer Programmingがありえない理由をよかったら聞かせてください。

っていうか… 読んでてくれたんだね。緊張するなぁ。。。。
近々、新年会やろうよ。

メカヤマ・オツシ
January 31, 2008 at 7:20 pm

mixiからこの記事に飛べなかったのですが、naoさんmixiやめちゃったんですか?!
まあでも僕はこのブログとSyncpodcastは愛読&愛聴し続けます。

inquisitor
February 1, 2008 at 12:56 am

まさにその引用部分をひとことで言えば「人の営み」だと思ったんだけど、
もう少し差別的になるべきかな

「サイエンスかアートか」みたいなことを調べて、結局
「サイエンスでもありアートでもある」という結論になるというのは、
昔からよくあることらしいよ(出典は後述)

もっと昔は「アートからサイエンスになること」が重要だったみたい

とにかく、「アート」にはいろいろな意味があるわけで、わざわざ
引いてみなくても、他の3つを「アート」に含めることはできてしまう
と思ったわけ

クヌースのアートはそういう広義の「アート」のはずだったと思って、
彼のチューリング賞受賞講演(「クヌース先生のプログラム論」に収録)
を読み返してみたら、なんと、歴史的な前置きで広義の「アート」を
紹介しているものの、彼はけっこう狭義のアートのつもりでいたらしい!

ごめんね

nao
February 1, 2008 at 12:45 pm

>「サイエンスかアートか」みたいなことを調べて、結局
>「サイエンスでもありアートでもある」という結論になるというのは、
>昔からよくあることらしいよ(出典は後述)

これはまったくそのとおりだとおもいます。John Maedaも新しいことを言ってるつもりはないはず。単にシンプルな表現で言い直したということでしょう。

>とにかく、「アート」にはいろいろな意味があるわけで、わざわざ
> 引いてみなくても、他の3つを「アート」に含めることはできてしまう
> と思ったわけ

なるほど、そういうことでしたか。僕は完全に逆の意味でとってました。
サイエンス畑のinquisitor氏が僕よりもずっとアートを広義にとらえていたというのが面白いです。
僕の方がよっぽどカテゴリーにとらわれているってことなのかな。

>クヌースのアートはそういう広義の「アート」のはずだったと思って、
>彼のチューリング賞受賞講演(「クヌース先生のプログラム論」に収録)
>を読み返してみたら、なんと、歴史的な前置きで広義の「アート」を
>紹介しているものの、彼はけっこう狭義のアートのつもりでいたらしい

そうなんだ。それは知らなかった。クヌースらしいといえばらしい気もしますが。

またコメント書いてね。

nao
February 1, 2008 at 12:46 pm

> メカヤマ・オツシさん

そうなんですよ… こっそりひっそりやめたつもりだったんですが.. さっそく気づかれてしまいましたね。
今後はblogの方でよろしくお願いします。

mixiなくなってたから来た
February 3, 2008 at 6:43 pm

芸術はもともと技術という意味ですよ。美学の最初のほうで習います。だからEngineering to expressも歴史的にそんな違和感ないですね。

nao
February 5, 2008 at 9:00 am

コメントありがとうございます。

たしかに、Artが「技巧/技術」(テクネー)と不可分な概念だったというのは、よく知られてます。ただし、日本語の「芸術」という言葉は、Artという言葉の審美的な側面のみを明治時代に日本語に翻訳して作った言葉なので、「技術」とは切り離されてしまっています。

上でクヌースの話が出てきているのは、その点を踏まえてのお話でした。

mixiに関係なく今後ともよろしくー。

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