[日誌] Pan Sonic + ATAK
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Pan SonicとATAKの日本ツアーにあわせてのトークショーに行ってきました。通訳を通してのコミュニケーションということもあってか、議論が白熱するという感じではなかったのですが、その中で特に、「Pan Sonicがコンピュータを使わない理由」として、メンバーの一人Mika Vainioが、グラフィカルインタフェースの危うさを挙げたことに興味を引かれました。
音楽ソフトウェアを使うことで音楽の構成が可視化される、それによって制作の方向性が視覚情報に何らかの形で「しばられてしまう」(本人はConnectedと言っていた)恐れがあるというわけです。これは僕も常日頃感じていることで、MPCのようなシーケンスがきっちり見えないハードウェアで制作するのと、Logicでループを切り貼りするのでは、自然とできあがってくる音楽が変わってきます。Logicの方が細かいエディットができるのにも関わらず、勢いという点ではMPCで作ったものにかなわなかったりするから不思議です。
一方で、レーベルATAKを主宰する渋谷慶一郎さんは、べリーデジタル(佐々木さんの表現)な手法で、ほぼコンピュータで楽曲を作っているそうです。最近は東大の池上先生と一緒にリズムとトーンのいずれでもない新しい要素を取り入れた音楽として「第三項音楽」というアイデアを提唱されてます。さらにカオスや複雑系の考え方を取り入れた新しい音響合成を実現し、実際のアルバム制作に利用したとか。先日の未踏ソフトウェアの発表会でその一部を聞く機会があったが、たしかに特徴的ないい音がでてました。ただ、カオスとかゆらぎとかいいつつも、最終的には通常のDAWソフトウェア上で線形な楽曲を恣意的に構成している点に違和感を覚えます。音色にはある程度の不定性を許容しつつ、構成は作者がかっちりと決める…. 五線譜の音楽をバックグラウンドにもつ渋谷さんならではの割り切り方なのか…
ビジュアルアート出身のIlpo Väisänen(Pan Sonic)がビジュアルのインタフェースを「音楽の幅を狭める」として毛嫌いしているのに対して、音楽畑の渋谷さんが視覚的な情報に基づいて音楽を制作しているという逆転が面白いと思いながらトークを拝聴しました。
明日のUNITのライブにも行くつもりです。久々のPan Sonicのライブ、楽しみです。
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