[日誌] UCSBでAllosphere見学
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ロサンゼルスから北へ車で1時間ほど走った場所にある街サンタバーバラに、カリフォルニア州立大学のひとつUC Santa Barbara(UCSB)があります。ノーベル賞受賞者が教授として数多く働いていることでも有名な大学です。今回のサンフランシスコ滞在の前にサンタバーバラを訪れ、UCSBの博士課程の学生として研究/制作を続けている作曲家の牧野豊氏に大学を案内してもらいました。
大学見学の目玉は、CREATE (Center for Research in Electronica Art Technology)のAllosphereという施設。TMUGでも以前牧野氏に紹介してもらいましたが、球上のスクリーンを持つ「没入型映像音響体験施設」とでもいえばいいでしょうか。直径10m弱の半球の中央を通路がつらぬくような設計になっています。現在はプロジェクタの数の問題で、球の片面しか稼働していませんが、近い将来に球全体に3D映像を投影することができるようになるとのこと。体験者は通路から、3Dメガネをつけて3D映像を鑑賞/操作します。球上にならべられたマルチスピーカ(これも近いうちに数十チャンネルに拡張予定)を使って、音の定位も自由自在。
見学時にはデモ用に作られた脳の3Dモデルを見せていただきました (写真を撮るのを忘れたのですが、Flickrで写真を発見)。CREATEのとあるスタッフの脳の働きを実際に測定して作ったモデルとのことで、3Dの脳の中を「探検」することができます(「ミクロの決死圏」のような感じというと分かりやすいでしょうか)。また、脳の各部位の活動の活性度は、画面上を動き回るswarmのような仮想エージェントの動きで表現されているだけでなく、可聴化され耳で聞くこともできます。
# 3Dの没入感を写真でお伝えできないのが、残念! TMUG#6のムービーのあたりをご参照ください。
施設を案内してくれたDr JoAnn Kuchera-Morinからは
「今後はこうしたサイエンスの可視化のプロジェクトと並行して、没入型オーディオビジュアル作品の制作発表にセンターとして取り組んでいく」という話を伺いました。
設備やコンテンツもさることながら、いかに多様なバックグラウンドを持つ人たちのコラボレーションで成り立っているかということにまず驚きました。例えば、現在取り組んでいる量子物理のプロジェクトでは、理論量子物理学者、コンピュータサイエンティスト(可視化と実装)、デザイナー(デザイン)、作曲家(可聴化)が共同作業を続けているとのこと。 博士の話の中でも、こうしたコラボレーションの難しさには何度も触れていました。それぞれ視点や目的が異なり、視野が狭くなりがちな専門家たちに、共通のビジョンをいかにもたせることができるか。そこにビジョナリーとしてのアーティストの存在意義があるということを何度も強調していたのが印象的です (博士ご自身も作曲で博士号を取得した作曲家だそうです)。
UCSBと言えば、Computer Music Tutorialの著者として有名なCurtis Roads教授が在籍しています (牧野氏の先生でもある)。ひょっとしたらお話しできるかと楽しみにしていたのですが、残念ながら教授は不在。日本からお土産としてもってきた学研「大人の科学」のテルミンのミニチュアを置いて帰りました 笑
サンタバーバラの街自体は、引退したお金持ちが住むような場所(日本で言うと葉山みたいな感じ?)で、海に面した緑にあふれる静かな街です。UCSBも例外ではなく、芝生と木々に囲まれた非常に美しいキャンパス。キャンパス内には潟があり、白鳥やサギがのんびりえさをついばんでいる姿をみることができました。さらに、潟に沿ってあるいていくと、海水浴を楽しんでいる学生のグループや、ボードを片手にスポットを探すサーファーでいっぱいの海岸に出ます(下の写真)。こんな環境で勉強できる学生がうらやましい!
帰りにはLAのチャイナタウンで食事。数十年前から, LAのチャイナタウンはギャラリーが立ち並ぶおしゃれな場所として有名だそうです。実際、この日もいくつかのギャラリーでクロージングパーティの最中でした。
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