BCL 「Ghost in the cell」 金沢21世紀美術館
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怒涛のSW前後の仕事がひと段落…と思っていたらあっという間に10月.
ちょっと前の話になりますが、BCLの金沢21世紀美術館での新しいインスタレーション「Ghost in the cell」の制作に参加したので簡単にまとめておきます.
いまさら説明する必要もないと思いますが、BCLは、福原志保さん、Georg Tremmel、吉岡裕記さんらからなるバイオアートユニット. 今回のインスタレーションは、ご存知「初音ミク」にiPS細胞を使って心筋細胞という実体を与えるという… どこからどうみてもいろいろとやばいインスタレーションです.
生命と非生命、バーチャルとリアル境界線があいまいに…といった解説はアーティスト本人たちに任せるとして、 実際に培養されたiPS細胞が脈打っているのを見るととにかくなんとも言えない気持ちになります. (心筋細胞は複数あつまると自然にシンクロして脈打ち出すんですね. NHKのこどもむけの教材が参考になります)
「細胞を置いた部屋を包み込むような音を自由につくってほしい」と言われてかなり悩んだのですが、今回はあえてアナログ機材を中心に音を作りました. モジュラーシンセの内部のノイズを極端にフィードバックさせ、発散と収束のギリギリのバランスを保ちつつつねに変化していくような状態、動的な平衡状態を音響的に作り出すことを目指しました. さらに心筋細胞の脈のリズムにあわせて、心音に見立てた低音が cell(=細胞であり独房)をゆらします. ある種使い古された手法かもしれませんが、ほとんどPCを使わずに音を作るという意味で個人的には新鮮なチャレンジでした. (最終的なアウトプットにはPCをつかってます)
Semitransparent Design(セミトラ)のみなさん(田中さん、柴田さん、アダムさん)とも、今回ようやくごいっしょさせていただきました! セミトラさんのビジュアルは、大量の初音ミクの画像で学習したGoogleのDeepDreamを使って生成しているそうです. 入力された写真のなかのミクらしさ(緑色の線=髪、白い楕円形=顔 etc)を強調した画像を生成. 生成した画像をさらにDeepDreamに食わせるということを繰り返していくうちに、どんどん特徴量が強調されていきます.
なんでもない影が人の顔に見えたりすると、もう顔にしか見えないという心霊写真と同じで、なんてことのない金沢の風景からミクがまさに幽霊のように浮かび上がっていきます. こちらも期せずしてフィードバックがキーワードでした. 会場入りしていっしょに制作をはじめてからの、お互い何も言わなくてもどんどん進んでいく感じが気持ち良かったです. さすがのプロフェッショナルぶり.
手前: BCLの三人. 奥: 左から松本さん、セミトラのアダムさんと柴田さん
志保ちゃん、ゲオルグとは僕がはじめてロンドンを訪れた2001年からの友人です. はじめてのロンドンだったのにひどい熱をだして、ほとんどソファーで寝ていたのもよい思い出です。いっしょになにかやりたいねといいつづけてはや10数年… やっと実現できました.
今回の展示は9月19日オープン、来年の3月21日までやってるそうなのでぜひ足を運んでみてください.
ps. 設営の際には松本昭彦さんにお世話になりました. ご自身もアーティストとして活動されている上にMaxなどの勘所もよくわかっていて、製作上のアイデアもいただきました. その松本さんにご紹介いただいたsonihouseさんの無指向性スピーカーのおかげで、不思議な定位感の空間を作ることができました。快くスピーカーをお貸しくださったsonihouseさん、本当にありがとうございました!
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