Max/MSP Workshop 終了

2007 BLOG MAX/MSP

(English below)

以前から告知していた芸大でのサウンドプログラミングワークショップが無事に終了しました!!
柄にもなくAdvanced コースという上級者向けのクラスを担当することになったせいもあって,ここ2週間くらいはワークショップの準備に忙殺される形となりましたが,おかげで個人的にも良い勉強になりました.例えば,今まで何となく理解していたPhase VocoderやSpectrum Delay,リングバッファを用いたピッチシフトなどの仕組みを理論/実装の両方からきっちり確認できたことは大きいです.これもこういったワークショップの準備があったからこそ.
初心者と中級者以上の二つのクラスに分けての講義というふれこみでしたが,ふたを開けてみると上級者のレベルが高く,それに引きずられるような形で,Advancedコースの内容はそれなりに難しくなってしまったかと思います.全体的なユーザレベルの底上げを実感する3日間でしたが,その原因は何を置いても,赤松さん,佐近田さんの”トランスMaxエクスプレス”と“2061:Maxオデッセイのいわゆる赤本,青本の影響でしょうね.受講者の多くが実際にこれらの本を持参してました.講義の内容を考える上でも,この二つの本といかにかぶらないようにするかという気苦労がたえなかったわけなんですが… おかげでいい勉強になりました.

ワークショップの様子
 Spworkshop07 Wp-Content Uploads 2007 08 Sany0010-4

みなさん熱心に聞き入ってます
 Spworkshop07 Wp-Content Uploads 2007 08 Sany0018-3


最初の二日間はふたつのクラスに分かれて,講義形式でのセッションがあり,最終日はチームに別れてのグループワークという形式をとりました.このワークショップで初めてMaxを触ったという初心者クラスの受講者の人たちがどのくらいまでできるか,当初はかなり心配だったんですが,その心配も杞憂に終わりました.

グループ分けの直後はそれぞれ方向性がまとまらずなやんだグループもあったようですが,最終的にグループごとに個性のあるパッチを仕上げてました.その一例をあげると,

  • 「4台のコンピュータをMIDIとUDPネットワークで同期させたループサンプラー」
  • 「UDPネットワークでシンセシスのパラメータをOpenGLのグラフィックに反映させる」
  • 「センサーボードと傾きセンサを使った音響/映像作品」

などなどです.たった三日間でここまでできるってすごいと思いません? きっと初心者クラスを担当した松村さんの丁寧なしどうのたまものでしょう.自分の演奏のためのループサンプラーを作ったある受講者の方に,「これが作りたくて参加したんです! 感激です!!」と言われたのが非常にうれしかった.

Advancedクラスの人たちはひととおり,Maxの使い方をマスターしている人がほとんどで,それ以上の「音楽的に」アドバンスドなものを求めて受講された方が多かったようです.音楽教育のバックグラウンドのない僕には荷が重かったかなという感もあり,ちょっと物足りなかったのではないかと申し訳なく思ってます.一方で,普通の音楽ユーザとはちがったMaxの使い方が見せられた点で,今後の参考になればと幸いです.
最終日のグループワークでは,Advancedクラスのメンバーが全員(といっても4人ですが),そろってのライブパフォーマンスも見せてもらいました.限られた時間の中で集中しての共同作業は,それぞれのメンバーにとっていい刺激になったようです.そういう場を提供できただけでもワークショップを主催した甲斐があったと書いたら,ほめすぎでしょうか.

Advancedクラスのメンバーによる即席ラップトップオーケストラ
 Spworkshop07 Wp-Content Uploads 2007 08 Sany0029-1

たまたまバカンスと制作をかねて日本に来ていたIRCAMのOlivier Pasquet氏が,ワークショップの見学に来てくれたのも個人的には非常に嬉しかったです.オンライン上ではすでに2年くらい前からの友達ですが,実際に会うのははじめてなんだか感慨深いものがありました.彼も,自分の研究所でもともと開発されたものが,遠い日本で熱心に学ばれていることをうれしく感じたようで,後日, “C’etait tres interessant !” (興味深かった!)というコメントもいただきました.
参加者の皆さんへ.三日間にも及ぶワークショップへの参加おつかれさまでした.
参加者のみなさんそれぞれが,何かしら今後の制作のヒント/刺激を得る手助けができたのであれば,講師,スタッフ一同これに勝る喜びはありません.ワークショップで学んだ内容や新しく生まれた人とのつながりが,みなさんの創作に生かされていることを心より願ってます.おつかれさまでした.

最後になりましたが,ワークショップの企画運営にご尽力いただいた松村さんに感謝します.ありがとうございます&おつかれさまでした.

#コメントや感想などぜひお聞かせください.来年以降のワークショップに生かしていきたいと思ってます.よろしくお願いします.

Our sound programming workshop for Max/MSP finished a few days ago. I feel so relieved now!! The biggest event in this summer was gone. I actually took the proposition of this workshop rather lightly when I heard of this summer workshop from the University and answered almost spontaneously “ah, yes I can do that.”. but… It turned out to be a huge work to prepare for 3-day-long workshop.
Especially because I was in charge of the class for advanced users. I found general level of users are definitely higher than 3 or 4 years ago when I went to a few workshops as a student, largely thanks to Akamatsu-san and Sakonda-san’s great Max books in Japanese. Ironically, that made my work more difficult. I was expected to provide more advanced or more practical samples than the books!
I ended up with sample patches for some advanced DSP stuff, like phase vocoder and pitch shift using ring buffer, and advanced parameter management on Max, namely pattr and pattrstorage. I also gave a short introduction of making external object and using MySQL database from Max. I’m not sure the attendees of my class were satisfied with my materials, but I am sure I was the one who learned most from this workshop :-)

The final day of the workshop, we assigned group works and had a presentation time at the very end of the day. I was amazed by patches made by attendees of the beginners class, who almost had no idea what Max is all about before the workshop. To name a few patches made:
“Live Loop samplers using 5 computers synchronized with MIDI clock and UDP network connection”
“An simple visual / sound installation using an accelerometer and a sensor board”
“Sound synthesis and its OpenGL-based visualization ”

Aren’t they amazing? I event got a comment: “C’etait tres interessant !” from Olivier Pasquet, an engineer/music producer working at IRCAM who happened to be in Tokyo and dropped in our workshop. I know him since quite a long time on the internet but that was the first time to actually meet him. So also in that sense, it was a fantastic day.

I believe and strongly hope this workshop succeeded to provide occasions to learn how to use Max/MSP and meet other interesting people. I’d like to say thank you to all attendees and especially Matsumura-san who organized the workshop.