メモ – 2021 夏に読んだ本

2021 BLOG BOOKS DIARY

ブルース・シュナイアー『超監視社会』 

UNLABELEDの参考にと考えて読んだ本。基本的に自分たちのデータが政府、企業にいかに筒抜けになっているか、政府・企業・軍などが相互に私たち一般国民のデータを融通し合う構図などの事例を並べている。正直途中で飽きてくる感もあるのだが、印象に残ったのは「犯罪できる余地を残しておくことは社会にとって有益」という一節。同性愛が違法だった時代や禁酒法の時代に、現代の最新の監視技術が適用されていて完全に取り締まれていたとしたら… 今のようなLGBTQの人たちに対する意識の改革につながっていない/酒を飲む文化そのものが死に絶えていたかもしれない。ある時代に「犯罪」とされていることが、のちの時代に普通の行為になることが多々ある = 監視の行き過ぎはそうした変化を妨げる可能性がある。

ブレント・シュレンダー『Becoming Steve Jobs(ビカミング・スティーブ・ジョブズ)

スティーブ・ジョブズに関する評伝というと、「天才」「独裁者のクソ野郎」のどちらか一方の見方をすることが多い中で、この本はクソ野郎だったジョブズがどうして天才的な仕事を成し遂げられる偉大なリーダーに成長できたかを描いている。特にAppleを追放されて不遇をかこっていた時代に焦点を当てている点も特徴的。ジョブズと家族ぐるみの付き合いをしていた記者だからこそかけた一冊。いくら失敗しても強い意志を持って諦めなければ、夢は実現できる、と思わせてくれる。

石川明人『すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉』

タイトル通り、缶詰から鉄道まで、テクノロジーが戦争、軍事にどう寄与してきたか、また軍事技術からどう恩恵を受けているかを書いている。今まで作られた技術の中で軍事目的に使われなかった技術はない、と言い切って良いくらい。だからこそテクノロジーの作り手はその使われ方に十二分に注意を払う必要がある。本文の中でAI技術に関する言及がなかったのは意外。